Q.私は、自営業を営んでいる者ですが、会社を設立しようと考えております。
個人営業と法人営業の場合ではどのような違いがありますか?
A.一番のメリットは代表者の給与が経費となることです。
まずは下記の図を見てください。
個人営業の場合 | 法人営業の場合 | |
売上 | 10,000,000 | 10,000,000 |
経費 | 4,000,000 | 4,000,000 |
給与 | - | 4,800,000 |
利益 | 6,000,000 | 1,200,000 |
この様に代表者の給与を経費として計上できます。図を参考に税金の計算をした場合は次のとおりです。(すべて概算であり、消費税は除きます)
個人営業の場合 | 法人営業の場合 |
申告所得税 566,000 | 法人税 216,000 |
個人住民税 502,000 | 法人住民税 107,000 |
個人事業税 155,000 | 法人事業税 59,000 |
個人所得税 195,000 | |
個人住民税 297,000 | |
合 計 1,223,000 | 合 計 874,000 |
代表者の給与により異なりますが、利益部分を個人と法人に分散することにより税負担も分散されます。法人化するメリットはこの分散にあります。
なお、この他にも代表的なメリットを紹介します。
法人営業にはデメリットもあります。ここでは代表的なものを紹介します。
役員給与は次の決算期がくるまで原則として常に同額でなければならない。
法人が黒字でも赤字でも必ず法人住民税の均等割 70,000円が課税される。
代表者の親族関係者等が経営する会社と取引した場合の損益には、難しい取り扱いがある。
Q.当社は食品製造の卸売業を営んでいますが、得意先の注文通りに製造するとどうしても規格外のものや原料・資材のあまりが生じてしまいます。これらは結局、廃棄するしかないのですが何かよい方法はありませんか?
A.今は、食品もアウトレットの時代です。資金に余剰がないのであればネット販売でも仕方ないのですが、商売には慎重さの反面、度胸も必要です。
工場の一部に間仕切りを入れて簡易店舗を用意し規格外商品の販売やあまった原料や資材を使って格安で美味しい商品を作ってみてはどうでしょう?
今まで廃棄していたことを考慮すれば原価に近い販売価格でも回収できれば資金繰りは格別に楽になるはずです。
現代の消費者は、格安で美味しいものであれば「口コミ」で序々に広まっていくものです。間仕切りを設置する資金がないのであれば事業計画書を作成し金融機関の融資を考えてみてはどうでしょう?
Q.当社の資金繰りは仕入業者や従業員給与の支払いなどが月末に集中しているのですが、取引先からの入金が翌月5日に集中しています。
この月末から翌月5日までの短い期間ではありますが、資金繰りが大変です。金融機関からの融資も考えてみましたが正直迷っています。どうしたらよいでしょうか?
A.金融機関の融資でも構わないのですが、お金はあれば使ってしまうものです。数ヵ月後には同じ問題が生じるでしょう。かといって仕入業者の支払日を遅くしたり手形を発行し決済日を長くすると当社の信用を落としかねません。あとは給与体系を変えるしかないでしょう。どこの会社も同じですが経費の大部分を占めるのが人件費です。社員全員に納得いくまで事情を説明し、給与の締日を末日にし支給日を翌5日以降に変更してみてはどうでしょう。それだけで資金繰りは楽になるはずです。お金の問題はデリケートなので会社の外部にお願いするよりは内部の問題にとどめておいた方がよいです。リストラの多い現代社会ですので事情を話せばきっと分かってくれるはずです
Q.当社の運搬用車輌は既に10年近く使用しており先日とうとう壊れてしまいました。新しい車輌の購入価格は500万円です。ちょうど定期預金が600万円あるので解約して払おうと思ったのですが、ディーラーがローンを勧めてきました。当社としては借金はしたくないのですがどうしたらよいでしょうか?
A.現金預金の残高が2,000万円程度あるのであれば現金一括払いもよいのですが、商売には急に設備投資などの資金が必要になることがあります。
資金が底をついた状態で金融機関に助けを求めても相手にしてもらえません。定期預金はそのままにしておいてローンに応じることをお勧めします。また、リースを検討してみるのもよいでしょう。
Q.当社は大不況の影響から売上が前年より4割近く落ち、2ヶ月後には借入金の返済や従業員の給与が支払えない状態になるのが確実です。
もう、なにをすればよいか手のつけようがありません。どうしたらよいでしょうか?
A.まず最初にすべきことは金融機関対策です。その様な状態では新たな借入は期待できませんのでリスケジュール計画書を作成し毎月の返済金額を当面の間減額し、返済期間を延長するためのお願いに行きましょう。金融機関も鬼ではありません。すべて計画通りにいかないかもしれませんが何らかの措置はしてくれるでしょう。
次に従業員の給与です。各従業員の労働時間を短縮して多く従業員の雇用を維持し、給与負担額を減額させることを考えてみてください。それでも追いつかないのであれば社員全員一部給料カットです。カットの対象者には役員を優先しましょう。役員全員が経営責任の立場から20%カットなどの措置をしたうえで従業員に理解を求めることが大切です。解雇などの措置はこれらの対策をしたうえで最後に考えてください。
Q.当社は私と妻の2人で経営している小さな会社です。2人とも毎日仕事に追われ帳簿を作成する暇もなく、すべて顧問税理士の先生にお任せしています。
つい先日の決算時で先生より「当期は利益が200万円で税金が60万円くらいです。」と言われました。私の感覚ではほとんど利益などないはずなのですが、「損益と収支の違い」と言われただけで意味が分かりません。
やはり帳簿の作成をすべて任せている私が勉強不足なのでしょうか?
A.記帳はなるべく自社で行うべきです。なぜなら記帳することにより自分の会社がどの様な状況なのかを「どんぶり勘定」でも知ることができるのです。
正しい記帳の知識は必要なく、人が見て理解できるものであればよいのです。
自分で記帳したうえで、顧問税理士の作成した試算表等の結果と自分の予想が違っていれば説明してもらい、認識のずれを少しずつ改善していけば解決できるものです。すべてを任せるのが悪いとは言いませんが非常に危険です。
「損益と収支の違い」とは売上と経費の計上基準の違いです。会計の基本的なルールは、売上は商品を相手に引き渡した時点で計上し、経費は発生した時点で計上することになっています。これが損益です。これに対し収支とは売上を入金時点で、経費を出金時点で考えます。今までおそらく後者で考えていたのではないでしょうか?例えば当月売上が100万円あるとします。入金は翌月です。会計のルールで考えると当月売上は100万円です。しかし収支で考えると0円になります。ちょっとした認識時点のずれで100万円のずれが生じるのです。このようなことが起こらない様にするためにも自分のできる範囲での記帳をお勧めします。
Q.私は2年前に会社を設立し、設立当初から経理や申告等も自分でしていましたが最近は商売も順調になり社員も数名雇うまでになりました。
そろそろ顧問税理士を探そうと思いますが、一体どういう基準で探せば良いでしょうか?
A.第一に顧問となる税理士と相性が合うかが大切です。
など、一概には言えませんが感じ方は人それぞれだと思います。契約前に一度、税理士と面会することをおすすめします。
第二に税理士が税務以外に何を得意分野としているかです。
など、どの分野を得意分野としているかを聞いてみてはどうでしょう。
第三に税理士の資格取得方法ですが大きく4つあります。ケースの多い順に
意外に国家試験合格税理士が少なく、北海道では毎年試験合格者は20人前後です。
ほんの一例ですが、これらを参考にして自分に合った税理士を探してはどうでしょう。